図9 求道会館 スパン12.2m
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東京大学の正門前にハンマービームを採用した煉瓦造の会館が存在することを内田祥哉先生から見学会にといわれるまで知らなかった。
求道会館は明治の浄土真宗大谷派僧侶の宗教家近角常観が欧州留学の体験をふまえ起こした会堂で、
ハンマービームの小屋組と仏教施設との類をみない建築空間である。宗教家と建築家武田五一は新しい時代に向かっての試みをしており教会建築とは異なった宗教建築の建物である。
小屋組の架構は平行弦トラスとハンマービームの組合せからなり、木製のタイバーはハンマービームより一段上のところに設けられている。平行弦トラスは単一材の構成とは異なり、
弦材とラチス材はそれぞれ3材と2材の板材からなり接合部の交差部でお互いに挟み込む形式でボルト締めされており、
シンプルで合理的な小屋組となっている。2階席はハンマービーム小屋組の下にU字形の配置されているが、
2階座席が側廊部にある成瀬記念講堂、京都落陽教会とは異なっていた。
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